姉妹百合地獄読切は暗くて重い。他殺強要悪魔ルール。姉妹の確執。妹の地獄慚愧。女学校社会の息苦しさ。根性のハッピーエンド。されど、いじめ加害者への報復はない。
姉妹百合地獄読切は暗くて重い。
どういう訳か、ボタニカル読切と同日にジャンププラスに掲載された読切も、ハードな姉妹百合であった。悪魔が題材なのもあるけど、作者の情念が呪術レベルであった。タイザン5を連想した。
百合姉妹が悪魔と出会う話だけども、とにかく雰囲気や絵が地獄のように重く、暗い。
他殺強要悪魔ルール。
なんらかの事件が起きていて、その原因が悪魔。閉じ込められた世界から出る条件が他殺。若干、舞台装置的であるけど、ただただ悪意があるルールが、悪魔的と思える。
姉妹の確執。
キラキラの百合姉妹かと思いきや、妹(主人公)が抱えているモノ、姉の過去が地獄だった。姉の過去は、姉妹がどうとかじゃなく、周囲の人間がカス人間。
妹の地獄慚愧。
妹の姉に対する懺悔の気持ちも、鬼のように重い。悪魔の存在がなくても、絶対に救われない。死ぬしかないのじゃないか?と、何度も思った。
女学校社会の息苦しさ。
姉は、学校で地獄のようないじめをうけて、家庭では親からのモラハラ。地獄であった。姉も救われないのじゃないか?と思えるが、その原因は社会である。
悪魔は閉じ込めただけで、外の社会に出ても、地獄は続いているのである。
根性のハッピーエンド。
最近は、バッドエンドのままに終わる読切も多いし、姉妹が救われる気が全然しないから、バッドエンドかと思いきや、何が何でもハッピーエンドに叩き込むような作者の根性と情念を感じた。
昔は、だいたいハッピーエンドだったけど、バッドエンドで終わらす漫画も増えたから、それらが前振りになっているかもしれない。
されど、いじめ加害者への報復はない。
悪魔はやりすごしたとして、姉が追い込まれた社会の悪は残り続けて、いじめ加害者への報復とかはない。なんなら、いじめは「知らない間に終わった」という過去のことになっている。
悪魔も、加害者も、消えた訳じゃないから、姉妹は明るさを取り戻したとしても、こちらの読切も同日の観葉植物妖精読切と同じく、根本的な悪は残り続けたままなのである。せちがれぇ。