俺の中学校がテロリストに占拠されたのはどう考えてもテロリストが悪い!第9話。
そんな冗談ともつかない妄想を繰り広げていたら、なんだかんだで、学校が見えてきた。正臣市立正臣中学は、正臣町の中心をなす田園地帯に、田んぼの真ん中に立っている。グラウンドは、そこそこ広いのだが、ボールがフェンスから飛び出すと、外は田んぼな関係で、運動部の面々は、難儀する。
冬は、いいのだけど、夏場は水田に水が張っている。用水路も流れていて、油断すると、ボールが見つからなくなる時もある。本当に困ったモノではある。去年の夏は、サッカー部は、結局、ボールを全部買い換えることになり、ユニフォームを買えなくなったから、全員、体操服で地区大会に出場して、しかも優勝する…という罰ゲームみたいな状態になっていた。
もちろん、スパイクも買えないから、勝ったけど運動靴。表彰台にペタペタと音を立てながら昇ったら、正臣町の体育振興の顔役、市会議員の正田正嗣氏も、ついつい失笑したそうだ。
勝ったけど、恥をかく。金だ。金。この世は、金なんだ。サッカー部が、去年に学んだことである。夏は、中学生が大人になる季節。
そういう意味では、正中(まさちゅー)の生徒達の多くは、夏の水田に人生を狂わせられることも多いのだけど、だったら、水田から水を抜けばいい…と思いがちだけど、それはできない。
なぜなら、正臣町で収穫される正臣米は、日本で5本の指に入るくらいの銘米(めい・こめ)で、正臣町の外貨収入の6割以上を占めるドル箱事業だからである。実際に、正臣米は上手い。給食も、全て正臣米である。
しかし、そんな愉快な正臣米が、これから起こる事件に大きく関わっているとは、その時は、まだ思わなかった。
続く。
ルール。
- ブクマコメントで展開希望があったら、それに習って進んでいく。
- なかったら通常通りに進んでいく。